「君の名前で僕を呼んで」ネタバレ感想

映画館で映画を見たいなあと思いながらもなかなか行くことができなくて、結局飛行機の小さい画面で見る私です。

今年の前半、一番見たかったこの映画も、飛行機で先日、やっと見ることができました。

 

1983年で17歳、というと私よりも少しお兄さんの主人公のエリオ。彼は、大学教授である父のところに一夏だけ勉強にやってきた大学院生のオリヴァーと恋に落ちる。と、こう書くと普通のひと夏の恋の話のようだけれども、名前からも映画のポスターからもわかるように、彼らは男性同士なのです。

私も記憶があるけれども、少なくとも1990年代のころまでは、同性同士の恋愛は公にするものではなかったし、「矯正」して治すような扱いを受けていました。当然のように惹かれ合った二人だけれども、特に早熟とはいえまだ幼いエリオは、自分の心を受け入れられずに、思春期の性的な衝動から自分の思いとは異なる行動をとったりします。でも、それが自分の心と合わず、苦しんでしまうのです。

大事なのは、そこでの彼の葛藤が、「相手が男だから」じゃないところ。自分よりも何歳も年が上の彼と自分は見合うのだろうか?自分は相手にどう思われているのか?と、そういう葛藤。そこが、普通の恋愛っぽくて、でも複雑で、見ててキュンとするのです。

やっと彼が一歩踏見出し、そして結ばれた2人。でも、たった6週間一緒に過ごす間、かれらが心も体も合わせられたのはほんの一瞬で、それがまるで太陽の下の水の反射のごとく、美しくキラキラと、そして儚く描かれています。

 

もっとタイトルの「君の名前で僕を呼んで」に意味があるかと思っていたのですが、それは特に説明されることはありませんでした。もしかしたらなにか深い意味が有るのかもしれません。他の方の解説を読むと、どうも、この小説を書いた方はこの中に出てくるエリオ、オリヴァー、そしてエリオのお父さん、全部を自分をモデルに書いたそうなので、もしかしたら相手に自分の名前で呼んでもらうことで自分を愛している自信みたいなもの、そういうものを得たかったのかなとか、思います。

ちなみに、私は英語でのタイトル "Call me by your name" より、そのあとに続くセリフ "I call you by mine" のほうが、なぜか、ぐっと来ましたけどね。自分で自分の名前を呼ぶほうが、なんか、興奮しそうじゃないですか。あれ?共感してもらえないですか・・・